ロッドユール問題

Too2016-03-26

 アラビアのロッドユールマグ。元々(本を書かせてもらう前から)グッズの出典を探すのが趣味だったワタクシ、ロッドユールは登場場面が少ないから簡単に特定できる!と、『ムーミンパパの思い出』をめくったのですが、なんと、それらしい絵がまったく見当たりません。
↓原作小説のロッドユールはこんな感じ。よく見るとヒゲとシッポがあります!

 困惑してコミックスをあたったのですが、コミックスにはスニフパパのロッドユールは登場しておらず、代わりにコミックス5巻『ムーミン谷のクリスマス』収録「イチジク茂みのへっぽこ博士」に、ロッドユールに生き写しの息であるクロットユールというキャラクターが登場します。
↓コミックス。

 後ろ姿の絵は確かにコミックスのクロットユールのもので、正面の絵もコミックスのアレンジだろうと考えたのですが、しっくりくるものがありません。

 Moomin 20Storiesで取り上げた時点では出どころがはっきりしなかったため、「クロットユールの要素もミックスされているのかも」といったあいまいな表現になりました。
 その後、『ムーミンマグ物語』の出典リストを作るため、デザイナーのトーベ・スロッテさんに確認したところ、トーベ・ヤンソンが描いたシール(正しくはクロモス。絵を切り取って糊をつけて貼って遊ぶシート)が元になっていることが判明!
↓クロモスの復刻版。旧ムーミンマママグの絵もこれが元になっています。

 ポーズはそのままなので、気にしていなかったのですが、よーく見たら、帽子が(笑)!

 マグは片手鍋。

 元絵は両手鍋!

 コミックス(後ろ姿)も小説挿絵も片手鍋なので、トーベさんがなぜクロモスだけ両手鍋にしたのか不明(深い意味はないんだと思います、たぶん)。
 さらに最近、『ムーミンキャラクター図鑑』を読んで、新たな事実を知りました。スウェーデン語ではロッドユールとクロットユール(発音は違うかもしれません。ウムラウトが出ないのでアルファベット表記できず)なのですが、フィンランド語ではどちらもHosuliなんだそうです! さらに初期のコミックス「ムーミントロールと地球の終わり」に出てくる、小説版のスニフに該当するキャラクターの名前はロッドユールだったんだとか。名前に関してはスノークのおじょうさんも個人名はなく(あ、それをいえばムーミントロールも)、種族名なので、ロッドユール族のパパ、息子1、息子2、ということなのかもしれません。
↓発見がいっぱいあっておもしろいです。ムーミン物語におけるもうひとつの謎、ソフス問題に関してはひとまとめに「ねずみ」(!)というカテゴリーになっているとか。

↓ロッドユールのぬいぐるみ。ヒゲもシッポもあります!

楽天では売り切れ状態。Amazonにはありました。
ムーミンマグ物語