粗大ゴミ?

 週刊誌の見出しに「日曜劇場マンネリ パパ田村正和 粗大ゴミ!?」みたいな一行を発見。言いえて妙。以下、毒舌。
 この枠で田村正和が父親役(『おやじぃ。』とか、黒木瞳と夫婦役のやつとか)って、定期的に巡ってくるんですが、なにしろ父親というよりお祖父さんが適切な実年齢。年々、顔はシワシワになり、声は震え、髪形は不審な状態になり、なかなか厳しいです。今やっている『誰よりもママを愛す』もまぁヒドイことになっているんですが、田村正和のせいというより、人物設定と展開がもうめちゃくちゃ。
 先週の長女(内田有紀)想像妊娠!のエピソードも、判定薬を使うでなし、病院で診断を受けるでなし、なのになぜか中絶同意書だけすでに持っていて大騒ぎ、というワケのわからん展開。内田有紀ももういいトシなのに、病院のガウンのまま、街に逃走。そんなアブナイ人、ナンパする男もいないもんだ、と思うのですが、服を買ってやり、クラブに連れて行った男の目的は集団レイプだったらしく、仲間が数人集まってきて、あわや!?というところで、家族&ピンコさん(阿部サダヲ)登場。若くもなければナイスバディでもない女ひとりに若い男が何人も集まるかね?(しかもクラブって入場料払って入るんだよね? 個室とはいえ、ガラス張りだし)という疑問はさておき、ピンコさんにお礼を言おうと思った長男(玉山鉄二)。バーの仕事を終えて、男といい雰囲気だったピンコに「自分に嘘をつくな」とか「早まるな」みたいな失礼なことを口走って強引に連れ去り、翌朝目覚めたら裸で、隣にはピンコがいて……というところで次週(昨日の放送)へ。だいたい、ピンコの相手の男、巨漢で髪が赤だかなんかでサスペンダーしてて、舞台衣装のままのお笑いの人? じゃなきゃ、そんなルックスの人、ゲイだろうがなかろうが現代の日本でなかなか見かけないよ!って感じ。少なくともそんなゲイカップルをリアルで見かけたことは一度もないけど、相手の男がどうであれ、なんでそれを長男が止めるわけ? ピンコが本当に長男を愛していて、長男もその気になっていて嫉妬した、というのでなければ、ただの偏見に基づいた暴挙でしかないじゃん。どんな変な男相手でも恋愛するのはピンコの自由なんだし。
 で、今週。長女のときのパターンから言って、長男とピンコはデキてない、というのはバレバレだったわけですが、長男が慌ててパンツをはくなど、なかなかエグい演出。ピンコはすっかりその気で長男の家に乗り込んできて、家族にもふたりが一夜を過ごしたことをほのめかし、長男は必死でごまかす。しっかし、ピンコみたいなマイノリティの立場の人って、痛い思いをすることも多いから、そんな自分が傷つくような行動には出ないと思うけどなぁ。ピンコさんの人物像というのが非常にテキトーで、短髪だし、化粧も美川憲一以下というか、言動はオネエさんだけど、化粧を取れば見た目は「普通の男」。ベッドで服を脱いでいたことからも、自分の体への拒否感はないらしく、女性への性転換を望むトランスセクシュアルではないっぽい。ストーリーとしては、地方にいるピンコの母親がなぜか上京時に倒れて病院に運ばれ、母もピンコも再会を望むものの、ピンコのせいで結婚が破談になったという姉や兄に阻まれ、ピンコは親に会えない辛さを家族に対して意地をはる長男に語ってきかせる。そこで、嘉門一家が一肌脱ぐわけですが、その方法がまた行き当たりばったりで、医者である隣人(小林聡美)まで嘘をついてピンコの兄を母から引き離すは、パパ(田村正和)は隣人に借りた白衣を着て医者のフリをするは、犯罪スレスレ(というか犯罪)。そうまでして再会した母は、男っぽくふるまうピンコに「お前が男の人を好きだってことは知ってたよ」と。怒って戻ってきた姉と兄に変な家族だともっともな指摘をされた長男は、家族ひとりひとりの長所を挙げて反論。アンタんちのことなんか今、関係ないよ、って話ですわ。家族っていいなー、いい話ですなー、ってオチのつもりなんでしょうが、長男の行動っていちいち自分勝手。職場(美容院)で何度も逆ギレしてて、いくらなんでも、と思ったらついにクビになったらしいし。自分がゲイかも?と動揺してとった行動がナンパ→喧嘩→警察沙汰って、ほんとバカか? それでも、自分のセクシュアリティを受け入れられないことが彼の問題の根っこで、そこをきっちり描くとすれば、すごいことかも?と思って見ていたわけです。結局、ピンコは長男は酔って寝ちゃっただけで、自分は素敵な嘉門一家の仲間に入りたくて嘘をついた、と告白。orz。なんだかなー。こういう、ゲイで笑いを取るとか、話を引っかき回す、みたいな手法って粗大ゴミを超えて、害悪だと思います。ゲイ=笑ってよし、みたいな図式が出来ちゃってるんだもの。
 そもそもこのドラマは「働く母と専業主夫として支える父」という設定がすべてで、「変な家族」と指摘されると(家族の誰かが)キレる、というパターンで進んでいますが、変なのは役割がマジョリティと入れ換わっているからでも、家族が仲いいからでもなく、非常識な言動が多いからだ、と言いたい。女性が働くことの苦労も、男性が家事をするときの不自由さも、なにも目新しいものは描けていなくて、ただ役割を入れ換えただけ。個人的な興味としては、小林聡美40%、阿部サダヲ40%、劇団ひとり10%、設定10%、という割合でここまで見てきたわけですが、だんだん辛くなってきました。次回のドタバタ学芸会もかなりキツそう。あと、母親は乳ガンの疑いがあるそうですが、乳ガンって食欲なくなる? 倒れる? 乳ガンかと思ったら、単なる過労ってオチか?
 ついでに、次の枠の『世界ウルルン滞在記』。嘉門洋子ルーマニアのHOTな一家を訪ねる……って、連想ゲーム?