リトルミイの名言

リトルミイの名言」で検索すると、トーベ・ヤンソンが書いた作品(小説、コミックス、絵本)およびそれらの原作を元に許諾を得て作られたアニメなどには出てこない偽名言が多数ヒットします。そのカラクリについては2013年の時点で以下のような指摘がありました。

sem-bar.blogspot.com

sem-bar.blogspot.com
わたしのこのブログでも2014年に「リトルミイbot」という記事を書いています。

too.hatenadiary.com

2021年4月にはムーミン公式サイトでも「ちびのミイが言っていないのはどれ?」という記事を書きました。

www.moomin.co.jp

偽名言拡散の元凶のひとつとなったNAVERまとめは2020年にサービス終了しています。

ツイッターアカウント 赤猫リブ・リビィ @with_libby もすでに更新はされておらず、アカウントは閉鎖済みであるというアナウンスに、新しい場所として
@katharsisKEI へ移動をお勧めるツイートが表示されます。
つまり、リトルミィbot赤猫リブ・リビィ→稽が同一人物だとするならば、稽(アカウント名なので敬称略)はプロフィールの自称によれば、現在小説の最先端にいるそうで、Kindleにて小説を販売中。
(余談ですが、書籍化された『赤猫リブ・リビィの「強くなれる賢者の言葉」』の売り文句は「ツイッターで大反響を呼び、3か月でフォロワー10万人超! 」。現時点での赤猫リブ・リビィ@with_libbyのフォロワーは3万。Kei|稽
@katharsisKEIのフォロワーは3240。ま、わたしのフォロワーさんは2つのアカウント合わせても650ぐらいですから、数の問題じゃないですけどね)
 
検証のために書籍を買ってみようかと思ったのですが、驚愕したことにまだ絶版ではなく、 マーケットプライスも意外に強気なお値段。おそらく初版がハケないまま残っていて、部数が少ないから古本価格が暴落しない、って感じではないかと。予算は1円だった(印税が入らないよう古本で)だったので、手元に本はなく、ネットの情報のみですが、ちょっと検証してみました。
※2022年2月現在、追記。¥94+配送料¥257という出品がありました。んー、もう一声!

Amazonに掲載されている「赤猫リブ・リビィのことば一例」を右クリックで検索してみました。

「迷わないことが強さじゃなくて。怖がらないことが強さじゃなくて。
泣かないことが強さじゃなくて。
本当の強さって、どんなことがあっても、前をむけることでしょ。前をね。」

これは約59500件ヒットで、上位に表示されるのはすべて「リトルミイの名言」として言及しているサイト。このことからも、偽「リトルミイ」=「赤猫リブ・リビィ」であることが証明できるといえるでしょう。

残りの言葉はありがちなワードの組み合わせなので、まったくヒットしないか、ヒットしても「赤猫リブ・リビィ」に言及しているのは2~4件程度でした。

 

ミイの画像と偽名言を組み合わせて紹介している人、公式サイトからコピペしたミイの紹介と偽名言を並べて載せている人、偽名言と本物のミイの言葉を混ぜこぜにしている上にまったく出典に触れていない人などなど、もう無法地帯だし、リテラシー著作権もあったもんじゃないし、デジタルタトゥーってこういうことなんだなと実感しました。今となっては出典がどこかもわからない、コピペのコピペですから。

 

こちらは小説に出てくるミイのことばを集めた本。改訂訳です。正直、別にミイは名言ばかり言ってるわけではない、というか、そもそも”いいこと言ってやろう“ってキャラじゃないですからね。ほんとは、小説なりコミックスなり、全体を自分で読んで、流れも踏まえた上で、心に残ったことばを大切にすればいいんじゃないかなと思うんです。

偽名言のキモチワルさについては前にもさんざん語ったので蒸し返すのは止めますが、相手の言葉を借りて贈りたいのは↓

「みてるわよ、あなたがしていること。あのね、神様じゃないわよ。もうひとりのあなたがよ。もうひとりのあなたがあなたをみているのよ。見放されないようにね。嫌われないようにね」(偽リトルミイもしくは赤猫リブ・リビィの言葉)

こんな状況を生み出して、自分を嫌いになっていないのかな。わたしだったら、もしも軽い気持ちでしたことがここまで拡大してしまったとしたら、いてもたってもいられない、悔やんでも悔やみきれないだろうなと思います。だってさー、人の名前を騙る、他人になりすますなんて、リトルミイがもっともやりそうにないことですもんね。そもそもミイのことなんて、好きでもなんでもなかったのかもしれないですけどね。