「今日はムーミン外交Day」

Too2012-03-21

 渋谷東Bunkamuraギャラリーで開催中の「フィンランドのくらしとデザイン展への招待」のイベント、「今日はムーミン外交Day」に行ってきました。
 会場は手前が物販スペース、奥がイベントスペース。

 人が多かったので、物販の様子は撮っていませんが、カイ・フランク(teemaやカルティオなど展示販売)、トーヴェ・ヤンソンアルテックマリメッコ、コーヒーなどの食品、ククサやスノードームなどの土産物、ヴィンテージ布のポーチなどの工芸品、ヴィンテージ食器などが並んでいました。ヴィンテージ食器はFukuyaさんが出店していて、お値段もそこそこ手頃。ムーミンショールームフィンランドのエコバッグ、紙バッグ、マウスパッド、三越で売り切れた白黒マステなどと、日本製のグッズが半々ぐらい? オリジナルのノート、クリアファイル、缶バッヂ、絵はがきがあって、ムーミン絵のものも何枚かあったので買ってみました(写真撮り忘れたのでまた後日)。

 イベント第一回(13時スタート)は、最初に人間たち(司会のお姉さんがそう言った)が登場。軽く紹介が終わったところで、ムーミンとミイ登場! ムーミンは喋らなかったけど、ミイの答えに合せて、手話か!?というぐらい細かく動いていました。

 ミイ、インタビュー。以下、カッコ(〜〜ワタシの心の声および補足〜〜)としてお読みください。
司会「はるばるフィンランドから遊びに来てくれたということですが、どうして来てくれたんでしょうか?」
ミイ「昔からの友達と新しい友達に会うために来ました。ここにもたくさん新しい友達がいますね」
司会「そうですか、たくさんの人とお友達になって帰ってくださいねー! いつもはフィンランドムーミン谷に住んでいると思いますが、ふだんはどんなことをして遊んでいますか?」
ミイ「ムーミン谷は毎日が冒険です。森がたくさんあって、ムーミンハウスがあって、そこでいっつも遊んでいます。ドキドキワクワクするようなことが起きます。おっきいお友達、ちいさいお友達が近くから遠くからも遊びに来てくれます。そんなお友達と歌ったり踊ったりして遊んでいます」
司会「どんなふうに踊っているんですかねー?」
ミイ「みんなといっしょに踊りたいんですけど、いいでしょうか」
司会「では、その場でムーミンとミイに合せて歌って踊ってください。音楽スタート!」

 ……スタートせず。やっとかかったものの、すごく音が小さい。なんとかいつものムーミンの歌、スタート。しかし、オールスタンディング(椅子なし)でスペースが広くないため、みんな手拍子が精一杯でした。次はミイの生歌に合せて、「ピックミュー!」(ミューというか、ムーに近い発音)と掛け声。

司会「日本まではるばる来て楽しく遊んでくれたと思うんだけど、日本ってどんなイメージ?」
ミイ「日本の人は実はフィンランドでも会ってたんだけど、皆さん優しくて親切。いろんなところ、ムーミンカフェとかミツコシとか行ったんですけど、人がすっごく多くて蟻塚のなかにいるみたい! ご飯がムーミンママがいつも作ってくれるのとは違ったけど、どれもおいしかった。ママにお土産でレシピを持って帰ろうと思います。またここから新しい冒険ができたらいいなと思います。こんなにたくさんの新しい友達ができてうれしかったです。ここからこうやって見てるとニョロニョロが集まってるみたい!」
司会「もっと日本で遊びたいってさっき言ってたけど、これからどこに行くのかな?」
ミイ「あっちに行こうかな〜。もっと遊びたいけど、まずその前にここでがっつりポーズをとっていくので、しっかり写真撮ってね!」
司会「今日は握手会とかないので、しっかり写真撮ってくださいね」
 しばし撮影タイム。ちゃんと各方面に目線を送ってくれました。

 全身〜。

 後ろ姿〜。ガラス越しにギャラリーの外から覗き込んでいる人もいっぱいいました。

 以下、人間の皆さんの質疑応答。長くなったので、折り畳みます。


↓もうすぐ発売〜。


 人間お三方+司会の方。

 眼鏡イケメンはフィンランド大使館のミッコ・コイヴナー氏。会場にはムーミンではなく、ミッコさんがお目当てだというファンも!

司会「では、人間の皆さまからお話をお伺いしたいと思います。アン・カリン・コスキネンさんはムーミンとミイがひとりでは来られないのでいっしょに来てくれました。ムーミンワールドというのは、どういうところですか?」
アン・カリンさん(通訳:森下圭子さん)「ムーミンワールドはテーマパークなんですけれども、アトラクションがあるわけではなく、ムーミンに出てくる登場人物がみんな集まっているところです。それはトーヴェ・ヤンソンが作ったムーミンの世界をそのまま生かしたテーマパークです。ムーミンワールドは小さな小さな島のなかにあります。島ひとつがムーミンワールドなんですが、森があって海に囲まれてという自然豊かな環境です」
司会「通常のテーマパークとのいちばんの違いはどんなところですか?」
アン・カリンさん「ムーミンをすごく身近に感じていただける、会ったらハグしてもいい、さっきもそうでしたけど。オープンしている間は必ずどこかにキャラクターがいてくれて、会いたいときに会うことができます」
司会「自然への取り組みがしっかりされていると聞いたんですが、どのような試みをされていますか?」
アン・カリンさん「トーヴェ・ヤンソンが大切にしてきたものを自分たちも大切にしています。それは何かというと、自然とか環境保護です。テーマパークを作るにしても、いかに環境を破壊しないで作るかということを心がけています。園内の道にはすべてフィンランドの木を使って作っています。もしもいつの日かムーミンワールドがなくなる日が来ても、その小道の木を外せば昔のままの森に戻るようにできています。それだけではなくて常に調査をしながら、いかに自然破壊をしないですむかを常に考えています。オープンして20年になりますが、鳥の生態系も変わっていないそうです。同じ鳥が飛んできて、同じ鳥が飛んでいく……」
司会「今回のイベントと絡めさせていただくと、東京のBunkamuraでの催しは、4月から行われる『フィンランドのくらしとデザイン』の先行告知イベントとなっています。その展覧会の趣旨は、フィンランドの方々は通常の生活のなかで日本よりもはるかに豊かな自然といっしょに暮らして、自然と共存するというテーマのもとに長い歴史を作り上げてきたことがデザインにも生かされている、ということ。そういった試みを展覧会で紹介していきたいなと思っています。まさにムーミンワールドの考え方はフィンランドの方々の考え方に通じるもの、ひとつのデザインの形なのではないかなと思います。森下さんはフィンランド在住ですが、ムーミンワールドにはよく行かれるんですか?」
森下さん「年に1度は行きます」
司会「夏、開園しているときっていうことですよね?」
森下さん「冬のマジカルウィンターにも行きます。マイナス25度のムーミンワールドが楽しめる。そのときでも5時間ぐらい遊びましたよ!」
司会「森下さんはフィンランドには何年ですか?」
森下さん「17年になります」
司会「フィンランドで生活していて日本といちばん違うところはどんなところですか?」
森下さん「ひとりひとりの良識、良心に訴えかけるところが大きいなと思います。たまに日本に帰ってすごく思うのが、日本っていろんなところに看板があって“こうしなさい”“こうしちゃいけないですよ”って書いてある。さっき、フィンランドの人たちとエスカレーター乗ってるときにアナウンスがあって、“今、なんて言ったの?”“この黄色い線の内側に立っていなさいって言われた”って。“子どもがいるなら手を引いてください”とか、そういうことはフィンランドでは自分で考えてできる問題でしょっていうところがあるんです。例えば、これから生えようとする芝生があったら、そこに足を踏み入れないっていうのは当然のことなんですね。でも、日本がちょっと息苦しいなと思うのは“芝生に上がるな”って説明が延々書いてある。それは自分で考えてできることなんじゃないかなってことはありますね」
司会「私もフィンランドに行ったときにすごく感じたのは、人にも自然にもお互いに敬意を払っているという考え方がある。人間が自然に踏み込むというのを、いっしょに生活するという考え方に切り換えているような、そういう雰囲気を感じます。ムーミンが生まれた背景にも、豊かな自然との暮らしがあると思うんですけれども、森下さんはムーミン研究家としても知られていますよね?」
森下さん「……知られてないと思う〜(笑)」
司会「ムーミン好きな方にとってはもうある種、“神”的な存在だと思うんですが、森下さんから見て、ムーミンの自然のなかでの暮らし方、ストーリーだけで追っていくのではなく、日本の人たちも学ばなければいけない、これから日本人が自然への取り組みといったときにフィンランドのように自然と共存するという考え方を持てるのかなって……」(注:「自然との共存についてムーミンから学べることはあるのか」というようなことをおっしゃりたかったんだと思います)
森下さん「私は大それたことは言えないけど、ムーミンを読んでいて、フィンランドにいて、この人たち、ムーミンっぽいなと思うのは、ものすごくスクスクと育って大人になってるなってことなんですね。たまに人と話すんですが、森のなかに松が生えています。松の枝ぶりがこう曲がっていたりして、松自身は真っ直ぐに育ちたいと思ってると思うんですが、太陽とか周りの木々の加減で、曲がっていく。でも、それを私たちが見て“美しい”と思う。フィンランドの人が魅力的だなって思うのはそういうところのような気がします。無理に何か他のものになろうとしたり無理に自分を変えようとしたりしないで、ちょっと不器用なんだけど、その誠実さがとても美しく見える。それはやっぱり自然のなかでいっしょに育っているから、自然に育まれてきた人間形成のあり方なのかな、と思うことはあります」
司会「私も今回のデザインをさまざま見ていて感じるのは、植物をモチーフにしたデザインが多いんですね。自然と共に生きることを当たり前と受け入れてそれをデザインに落とし込んでいるという気がするので、お帰りの際にひとつデザインを手に取っていただいて、これがフィンランド式なんだってことを考えていただけたらなと思います。続きまして、ご存じの方も多いかもしれませんが、今、フィンランド大使館さんはツイッターでもすごく人気ですね。そのフィンランド大使館からミッコ・コイヴマー(報道・文化担当参事官)さんに来ていだたきました。去年からムーミン外交というものをスタートさせていらっしゃいますが、それはどういう内容なんでしょうか」
ミッコさん「去年9月からムーミンフィンランド大使館は協力してムーミン外交を始めました。基本的にムーミンはやっぱり日本のなかで人気のあるキャラクターで、それを通じてもっとフィンランドのことを詳しく伝えたいと思っています。具体的にはいろいろありますが、ひとつはコミュニケーションで、名刺にムーミンのキャラクターを印刷しています。ホームページにもときどきスナフキンが登場します。 ムーミンについて話しすことによってフィンランドのことを伝える、というようなことをしています」
司会「ここにいる方はムーミンフィンランドのものだってよくご存じだと思いますが、けっこう、ミッフィーとかもそうですが(お姉さんはミッフィーカラビナをお持ちでした。ほんとはミッフィー好き?)、日本のキャラクターだと思っている人もいらっしゃるんですね。でも、実はフィンランドのものなんですという親しみを込めてやっている政策だとお伺いしています。日本ではムーミンは大人にも愛されていて大人気なので、ムーミンが親善大使として登場していると思うんですが、ムーミンは親善大使として適任というか、お仕事ちゃんと果たされてます(笑)?」
ミッコさん「日本で知られているフィンランドと関係のあることはいろいろありますが、やっぱりいちばんはムーミンのふるさとだということ。フィンランドのことがそのままムーミンのなかで描かれていることもありますし、親善大使にふさわしいと思います」(一部、意訳)
司会「今までのお答えはフィンランド大使館として、だと思うのですが、ミッコさん個人がムーミンが好きだという魅力はどんなところですか?」
ミッコさん「私は今、子どもふたりいて、ひとりは3歳なので、また再びムーミンを見るようになって、いっしょにムーミンのことを学んでいます。子どもの頃も好きで、今も好きで、その理由は物語はそんなに簡単ではなくて複雑な問題を語っています。キャラクターも完璧な人はひとりもいない、人間的で、今でもおもしろいと思います」
司会「ムーミンが愛されている理由はただかわいいだけではなくて、ストーリーも哲学的で、大人の心にも響くというところがあると思います。3人に私から質問です。ムーミンのキャラクターに自分がいちばん似てるなと思うのは?」
ミッコさん「私は自由を愛するスナフキンです」(と、スナフキンの絵の入った名刺を披露)
アン・カリンさん「ムーミントロールといっしょにずっと旅を続けているので、いちばん好きで、いちばん自分に近いのはムーミントロールです」
森下さん「私もムーミンです。無駄な好奇心があって、よくしっぽをつけたりして遊んでいますし(笑)、何かあるとわーっと行く感じが似ていると思います」
司会「ムーミンはたくさんのキャラクターが登場するので、自分はこれに近いな、この考え方に共感するなっていうのも魅力だと思います。皆さんはムーミンの魅力を重々知っていらっしゃるはずですが、実際にフィンランドに行ってムーミンワールドなどを巡っていただいて、もっともっとムーミンフィンランドを好きになってもらうということを重ね重ねお願いしたいと思っております。なお、フィンランドは遠いと感じていらっしゃるかもしれませんが、フィンエアーさんから直行便が出ておりまして、ヨーロッパのなかでは最短最速となっております。明日行こうかなと思ったら、ちょっと大阪行ってくるぐらいの感じでフィンランドに行けますので、こちらで楽しんでいただけたら、ぜひ現地のほうにも足を運んでみてください」
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 以上、もちろんすべてを記憶できたはずはなく、特に禁止のアナウンスもなかったのでレコーダー回してテープ起こししちゃいました。良心に照らして考えると自制すべきことなのですが、行けなかった方にとっては喜んでいただける内容だと思いますし、PRという意味でもマイナスではないと思うので、アップさせていただきます。が、営利目的ではないボランティアとはいえ、どなたかの権利に抵触しているような気がしないでもありませんので、要請があればすぐに削除いたします。
 ちょこっと感想を書いておくと(というか、引用を合法にするためには自分の論旨を何倍か書かないとダメなんだっけ!?)、司会の方(キュレーターさん?)の“フィンランドに学ぶ”的な生真面目な姿勢がいかにも日本っぽいなぁと感心しちゃいました。森下さんの話になぞらえるなら、北欧の松に学ぶより日本の松の良さを見直したほうがいいような気もするんですが、とはいっても「青森になまはげランドができたよ!」と言われてもたぶん行かないけど、「青森でムーミン展があるよ!」と言われたら行ってしまうかもしれないわけで、「北欧ステキー!」というところから始まるものもあるんだろうなぁ、と。
 お話はそれぞれとても興味深く、「ムーミンで誰に似てると思うか」という質問もおもしろかったです。同行のムー友さんに聞いたら、「スティンキー」という返事が(笑)。そ、そうだったのか!? ミムラ姉さんあたりかと思ってたよー。わたしは食べ物のことばっかり考えてるところはムーミンママですが、あんなに面倒みがよくないし包容力もない(笑)。体質的にはヘムレンさんかスニフなのかなー(笑)?
 最後に、Bunkamuraの「フィンランドのくらしとデザイン展への招待」は今後もいろんなイベントが予定されています→http://www.bunkamura.co.jp/gallery/exhibition/120320finland.html 展示だけだとちょっと物足りないかもしれないけど、イベントは他のも見てみたいなと思いました。で、メインの「フィンランドのくらしとデザイン ムーミンが住む森の生活」は4月7日、青森県立美術館を皮切りに宇都宮、静岡、長崎、兵庫県を巡回→フィンランドのくらしとデザイン -ムーミンが住む森の生活展 | フィンランドのデザインをはじめ、ライフスタイルやイベント等、フィンランドにまつわる旬な情報を発信していくサイトです。 こちらは“日本史上最大のフィンランドの展覧会”だそうです。2カ月ずつと会期も長いので、どこかに行けるといいなー。