記念講演

Too2006-08-10

 昨日、PEIKKOと講談社の「ムーミンの日 記念講演」に行ってきました〜。PEIKKOではプレゼントをもらったり、展示の写真を撮ったり、目新しいグッズを購入したり……といろんな楽しいことがあったのですが、まずは記念講演の話から。講演者の写真は撮影可なのか不可なのかわからなかったので、画像は受付でいただいた資料一式です。


 2006年8月9日、東京・護国寺講談社・本館6階講堂にて、「ムーミンの日」記念講演『ムーミンから見る北欧の暮らしとデザイン』が行われました。定員は350名とのことでしたが、30〜50代の女性を中心にほぼ満席。会場入り口付近には、ムーミン関連商品としてエーケルンドのタオルとブランケット全種類、アラビアのThe Diveのマグとボウル、そして講談社の発行物を中心にムーミンの書籍が展示されていました。


 午後6時、小柄でかわいらしい感じの渡部翠(わたなべみどり)さんと、ストレートボブに黒縁眼鏡がナチュラルな雰囲気の渡部千春(わたべちはる)さんが登場。名字の漢字が同じなので親族かと誤解していましたが、実は今回が初顔合わせとのこと。トークは、デザインジャーナリストの千春さんが、ムーミン翻訳・研究家の翠さんにフィンランドとの関わりを尋ねるところから始まりました。
 フィンランドに3年半留学して「冠婚葬祭をひととおり経験した」という翠さんに対し、取材旅行で北欧各国をたびたび訪れている千春さんの最長滞在期間は約2週間。壇上正面には大きなスクリーンが用意され、ムーミン童話の挿絵、トーヴェさんのアトリエやフィンランドの写真を交えながら、ホームパーティ、料理、ランプ・明かり、ストーブなど、暮らしに関わるものの解説を中心に話は進んでいきます。
 フィンランド人の優しさと気質を現すエピソードとして、翠さんは留学早々に現地の人からプレゼントされた辞書を今だに愛用している、フィンランドの人は相手のことを本当に考え抜いてプレゼントを選んでいる、と発言。翠さんがクルーヴ・ハル近くの売店のおばさんに聞いた話では、まだ小さい子どもだったソフィアがある物が欲しいと駄々をこねたとき、ハムが「1時間考えて、本当に欲しかった買ってあげる」と諭したそうです。千春さんは取材を通じて親しくなったイーッタラの人から「お礼に鍋をあげよう」と言われ、「今の自分には必要ないし、重くて持って帰れない」と断ったら、ちゃんとわかってくれたとのこと。
 フィンランド料理にまつわる話では、千春さんがStockmannのデパ地下のデリカテッセンの充実ぶりをほめれば、翠さんが家庭料理やトーヴェとトゥーティ、翠さんの夫で4年前に他界した高橋静男さんと4人で朝まで楽しく飲んだホームパーティのエピソードを披露。アボカドに大きな茹で海老をのせた美味しいオードヴルから始まったディナーはえんえんと続き、酔っぱらったトーヴェは「海から持ってきた」という秘蔵のワインをふるまってくれたんだとか!
 千春さんがフィンランドでいちばん気にいったのは「何もしなくてもいいんだ」ということ、また、「フィンランドの人と二人きりになって、沈黙が続いても平気。空気感とか時間の感覚が似ている気がする」。翠さんがいちばん好きなのは「フィンランドの人たち」。「暖かくて、愛が深い。そんなフィンランドを凝縮したのがムーミンの世界」と、うまくまとまったところで、1時間の講演は終盤へ。
 最後に「今日は天気が悪いなかお集まりいただき……」と社交辞令を言いかけて、「台風が3つもきているって聞いてワクワクしちゃって」と、いたずらっ子のような笑みをチラリとのぞかせた翠さんのなかに“ムーミンっぽさ”がキラッと光ったような気がしました。


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 以上、社内報記者のように美しくまとめてみました(笑)。
 以下、ぶっちゃけな本音。
 おふたりが気をつかいあっているうちにあっという間に1時間たってしまったような印象だったので、独演にしたほうが話が深まったような気がします。ムーミンの各巻からのランプ(明かり)の挿絵を集めて、フィンランド人と明かりの関係を語るなど、試みはおもしろかったのに、講演者が背後のスクリーンに何が映っているのか気付かないまま別の話を続けてしまうことが多かったので、無理にムーミンにこじつけてる感が漂ってしまったのが残念。声がやや聞き取りづらく、ふたりの掛け合いがうまくかみ合わないとか、写真の画像があまりはっきり見えない、などの問題もありました。
 いただいた資料も、講師プロフィールと、関連本の目録チラシ、高橋静男氏の解説コピー、ムーミンベーカリーと『かもめ食堂』の案内と地味め。唯一、お宝っぽかったのは、講談社子どもの本通信『dandan』2冊。これは明日詳しくご紹介しまーす。