マグ本の裏話

Too2014-05-05

 今日は平常運転でジムに行こうかと思っていたのですが、HDDに溜まっているドラマや映画を消費しきれていないので、のんびり過ごすことに決めました。
 なので、お待たせしたままになっていたコメントへのお返事を♪(お待たせといえばプレゼントやらクイズやらも放置のままでごめんなさい! 忘れてはいませんので、そのうちちゃんと!)
 以前、kokoさまからいただいたコメントへのお返事です。


>ひとつひとつのマグの文章は短くなかったですか?
 短かったです〜! 当初のイメージではスコープさんのマグ記事がさらりと楽しく読めるエッセイふうだとすると、マグ本はもっとがっつり詰め込んだものにするつもりでした。が、文字がそんなに多くなると、ヴィジュアル本ではなくなってしまいます(笑)。編集さんにワガママ言って、文字量をぎりぎりまで多くしてもらい、出典も個々のマグのページに入れたほうがわかりやすくはあったのですが、すっきりさせるために後半にまとめて入れることにしました。


>執筆にどのくらいかかったのでしょうか?
 最初に「こういう感じ?」というテスト原稿を何本かお送りして、編集さんのご意向を聞いて調整。方向が定まったら、マグ63個の原稿を揃えて、赤字を入れてもらい、デザインに合わせて長さを整えて、最終形に。そこからさらに何度も何度も修正を加えました。トーベさんにもお会いになったことがあり、長年、ムーミンとトーベさんに関する書籍を手がけてきた編集さんからの愛にあふれつつも鋭いご指摘、校閲さんからの文字統一や事実関係へのご指摘、日本における著作権管理者による事実確認とご要望、フィンランドご担当の森下圭子さんからの深い知識と実感に基づいたアドバイスなどを織り込み、もー、何度直したたことか(笑)! 実際に原稿執筆に要したのは1〜2カ月程度だと思いますが、とにかく修正作業の期間が長かったです。新パパ&ママ、100周年のトーベズジュビリーの原稿は後から追加で書きました。
 また、当初はマグ紹介の文章だけを担当する予定で、デザイナーのトーベ・スロッテのインタビューにも同席していないのですが、録音データから原稿を書き起こしてまとめる作業もやらせていただきました。扉(各章の導入)部分、アラビアの成り立ちとファクトリー紹介も書かせてもらったので、「はじめに」や帯、カバーの文章以外はすべて担当しています。


>編集にもかかわっているようですが、tooさまの発案で決まったところもかなりあるのでしょうか?
 編集さんがこの本の企画を本国に打診なさったのはなんと約4年前。3年前ぐらいにたまたま私が講談社ムーミン本の前任者に企画書を送ったなかに「『Moomins at Arabia』の日本版を!」という提案があったのですが、「すでに近い企画が進行しているんですよ〜」とご紹介を受け、チームに加えていただくことに。
↓『Moomins at Arabia』(完売)。結果的に、一部は企画がかぶっていますが、まったく違うものになりました。

 みんなで意見を出し合い、長い時間をかけて形にしていったので、どこが誰の発案かもあまりはっきりしないのですが、「マグに使われているすべての絵の出典を明らかにしたい!」と言い張り(笑)、ベースとなるデータ作り(どの絵がどこに使われているか)を押し進めたのは私だと思います。初期の段階で、日本ムーミン界の生き字引とも言える方にご同席いただき、出典探しの会を開催したのですが、その場で探すのには限界があり、自宅でコミックスを総当たりして不明なところを埋めていきました。トーベ・スロッテにすべてを確認してもらい、判明しなかった部分を解明することができました。
 最終的に出典リストのデータを整理し、見やすい形にまとめてくださったのは編集さんです。私は今回、徹夜はしていませんが(以前の本のときは徹夜で原稿書いたり、初校を読んだりしたのですが)、編集さんは深夜に及ぶ作業も多かったのではないかと思います。


>苦労されたことなどありますか?
 私はそうでもなかったのですが、チームの他の皆さんは大変だったと思います。
 まず、8〜11ページのすべてのマグの前後の写真と、各マグのページの写真は角度を揃えてひとつひとつ撮影しています。ざっと65個×4アングル、旧スニフの尻尾やぐるりと紹介しているナイトセーリングなど、さらに別アングルから撮影したマグもたくさん。嵐の日にスタジオにこもって、1日がかりの撮影でした。その後、カメラマンさんがその写真の影を消したり、実際に使っていたマグも撮影に使用したのでカケなどがあれば修正を加えたり、気の遠くなるような作業をしてくれました。
 デザイナーさんは、あれもこれも入れたい!と欲張る私たちと、読みやすく美しいデザインとの間で板挟みに(笑)。さらに著作権管理者からのご指摘で、急きょデザイン変更を余儀なくされた部分もありました(例えば、章扉は当初、キャラクターを散りばめたデザインでしたが、キャラクターのサイズにバラつきがあったため、1枚の原画を使うことに。表紙も原画を生かしたオリジナルでしたが、マグをそのまま使ったデザインに変わりました)。
 マグの取っ手はひとつひとつ微妙に位置が違うので、同じ角度から撮影をしたとしても、写真を並べると位置がずれてしまいます。なにしろ点数が多いですし、DTP担当者も大変ご苦労なさったようです。
 ご苦労といえば、なんといっても森下圭子さん! ムーミンキャラクターズ社とフィスカルス(アラビア)社との交渉は、紆余曲折、波瀾万丈、それはそれは長い道のりでした。


 じゅんたん星人さんからのご質問、
>マグのイラスト出典一覧の未邦訳の本で、「Moomin Family Robinson」 は日本で購入できる様ですが、他の本は、日本で購入は難しいのでしょうか?
↓『MOOMIN The Complete Lars Jansson Comic Strip #8』ですね。

 以前、つららさんからコメントで教えていただいたところによると、現在刊行中のこのコミックス本はまだ完結しておらず、「Moomin and Aunt Jane」収録巻は発売前とのことでした。そのうち刊行されれば、日本でも買えるようになるのではないかと思います。
※つららさんからのコメントを追記。「現在発行中の英語版のコミックスは全作品を採用する予定、ジェーンおばさんのお話は41番目の話なので、おそらく第10巻で会えることでしょう」とのことです!
 と、ここで、最近のびっくりニュース! FBで知り合った方が1988年にフィンランドで買われたというスウェーデン語の古いコミックスを1冊プレゼントしてくださいました。

 たまたまこれだけ2冊あるからどうぞ〜とのことだったのですが、パラパラと見ていたら……

 ずっと探していた冬マグの元絵がーーー! なんという巡り合わせでしょう! 「運命の夜じゃ!」というエンマの声が聞こえてきそう(笑)。ちなみに譲ってくださった方によると、パパの台詞は「こんなに素晴らしいクリスマスツリーはみたことないな」、moster(おばさん)の台詞は「こんな楽しいクリスマスはじめてだわ!」だそうです。スウェーデン語がお読みになれるなんて、尊敬!

「SONGS FROM MOOMINVALLEY」は私は持っていないのですが、こういう感じの本→Songs from Moominvalley | Moomin Wiki | FANDOM powered by Wikia 輸入書店などで取扱があるかもしれません。
↓旧ムーミンママのベリーつみの絵の元になったシールはこんな感じ。このアルミマグネットは「すごろく原画」だそうですが、シールとすごろくは同じ絵が元になっているのではないかと思います。

↓絵を探していたらフィンランド製ポストカードの取扱ショップを見つけたのでメモ。

↓コメント欄でmasami.tさんに教えていただいたショップはこらら。フィンランド製ポストカードの取扱があります。

 他にもご質問等あれば大歓迎、どんどんどうぞ〜!
↓まだお読みでない方はぜひ! 楽天Amazonのレビューも書いていただけるとすっっっごくうれしいです♪ よろしくお願いいたします。