イナリ到着

Too2016-01-20

 1月6日の後半(前半は→移動の日。 - おでぶさん時々おしゃまさん)です。怒濤の更新ですみません。今やっておかないと気力が途絶える〜(前回の旅行記、ほったらかしでごめんなさい)。
 サーリセルカからイナリ行きのバスは暗い道をひた走っています。運転手さんが「ホリディビレッジイナリ」と何度も確認してくれたので一安心。バスはウツヨキ行きだったかな、もっと先まで行く長距離バスで、車体の下にスーツケース収納スペース、車内にトイレもある大型のもの。
 温度計の数値がどんどん下がっていきます。

 16時55分ちょい過ぎ。予定より少し遅れて、「ここだよ」と暗い路上に降ろされました。軽くうとうとしていたので、外気が身に凍みる。

「あっちだよ」と進行方向を示してくれて、看板らしきものもありますが、とにかく暗い。これで場所が間違っていたら凍死必至、いっかんの終わりだ!

 スーツケースを押して雪の積もった(といってもある程度、固まっている)道を進み、数分でレセプションと書かれた建物に辿り着きました。暗い。でも、奥のほうに小さな灯があるので、誰かいるのだろうとドアを引くが……鍵閉まってる! 軽くパニックになりながら、誰か出てくるだろうとインターフォンを押すと、「はい、ただいま!」という感じではなく、「はろー、めいあいへるぷゆー? はろー?」と遠くから声が聞こえます。「予約してるんだけど!」「はろー? めいあいへるぷゆー?」「チェックイン、プリーズ!」「はろー?」「予約!」「おお、ちぇっくいん? あ ふぃー みにっつ待ってて、誰か行くから」……数分待て、だと!? それでもまぁ、誰かは来てくれることが確実になって一安心。
 少し冷静になってドアの横をよく見ると「ごめん、今いないからインターフォン押して連絡してね」的な張り紙がありました。外観を撮るゆとりはなかったのですが(暗かったし)、この写真のタイムスタンプを見ると、確実に10分は待たされたと思われます。そもそも「到着が18時を過ぎるときは事前に連絡してね」的なことは規約に書いてあったけど、チェックイン「16:00〜18:00」で予約してあったし、まさかマイナス30度以下の野外(屋根はあったけど)に放置されようとは!

 と、左手のコテージが並んだほうから人が歩いてきました! 真っ暗だったけど、誰かいたのね! うれしくなって手を振ると、なんだか様子が変。「ごめんね〜」みたいな感じでインターフォンに向かい、「外のサウナの鍵がうんたらかんたら〜」。どうやら宿泊客だったようです。「おー、今、スタッフがそっちに向かってるから」。やれやれと顔を見合わせる我々。
 しばらくして車がびゅんっと到着。内側からドアを開けて、レセプション(夏はカフェ併設。ドリンクやスナックは買えるようでした、人がいれば!)に入れてくれました。無人でも室内は暖かくて生き返りました。「書類、書いといてー」と我々を放置し、スタッフのお姉さんはサウナのトラブル処理へ。カードで料金を前払い(2泊260ユーロで38800円ぐらい。相部屋の安いキャビンから個室サウナ付き、湖が見えるコテージと各種あり、今回は旅の目玉と奮発して2人用の小さいほうのコテージを借りました。食事なしなのでちょっとお高めですね)、コテージに案内してくれましたが、スーツケースを引いているので、お姉さんについていくのが一苦労(フィンランドのホテルにはポーターはいなくて自分で部屋までスーツケースを運ぶのが一般的)。
 いちばん端のコテージは真っ暗でしたが、室内は暖めてあって、やっと人心地つきました。「サウナの使い方、わかる?」と訊いてくれたので、教えてもらうことに。これは後から撮った写真なので、タオルが写っていますが、タオルはついていない(別料金)です。フィンランドによくある、ガラス扉のサウナ。

 写真に撮るのも困難な奥のほうにスイッチがあります。オンオフ時間が選べますが、温まるのに1時間ほどかかるので、オンにする場合は入りたい時間+1時間でセット。

「シャワーのお湯はサウナのタンクで温める方式だから、タンクを空にしてしまうと再びお湯が使えるようになるまで1時間かかるから気をつけて!」って、なんという恐ろしい話でしょう! 部屋中、電気ヒーターで暖めてるんだし、冷蔵庫も電子レンジもあるのに、なぜシャワーの温水だけエコ仕様なのよ!?(そもそもサウナだって電気なのに)。

 サウナにも窓があります。閉所恐怖症的にはとてもありがたい(笑)。

 シャワー。

 外側からはきっちり閉まるけど、内側からは閉めづらいシャワーカーテン。

 手も体も頭もこれで洗ってね、という洗浄料。

 クールダウン用の椅子と使途不明の桶。

 ここから外に出ることができます。そっか、通常、サウナの後はシャワーは使わずに湖(または雪!?)にドボン!なのかも。

 洗面とトイレ。バスルームの床は温めてあります。

 お姉さんは「説明パンフレットはここね。アクティヴィティの受付は9時から9時までやってるから!」(ホテルイナリの横にあるアクティヴィティショップと経営が同じで、スタッフもそこに常駐して車でやってくるっぽい)と言い残すと、さっさと姿を消しました。
 さあ、散らかす前に室内撮影! 入ってすぐ右手のソファーと椅子。

 暖炉の熱もほどよく届き、居心地がよかったです。

 湖が見渡せる窓。北向きなので、オーロラも出ていれば見えるはずですが、室内が明るいと外がよく見えません。あと、ちょっと木の枝が伸びちゃってました。

 テレビ。使いませんでしたが、チャンネル表(番組表ではない)が置いてありました。

 暖炉。火をつけるまでの大騒動はまた明日。

 部屋に入ると、奥の突き当たりにキッチン、手前右手にソファー、左側のドアを開けるとバス&トイレ、暖炉、クローゼット、左奥のドアを開けると寝室、右手奥にダイニングテーブルという配置。

 4口の電気コンロ。湯沸かしポットはなかったので、鍋を使ってここで沸かしました。

 本格的すぎて扱えなかったオーブン。

 電子レンジと大きめの冷蔵庫。電子レンジ付きの宿には初めて泊まりましたが、やっぱりあると便利ですね。

 食器棚。撮り忘れましたが、カトラリー、ラップ(ホイルはなし)、鍋、ナイフなどもありました。

 コーヒーメーカー。スーパーでペーパーフィルターとコーヒー粉を買うか迷いましたが、2泊だし、残ると荷物になるので、日本から持参した1杯分パックのドリップバッグ式コーヒー(フィンランドにはないらしい)で我慢。次回からペーパーフィルターを何枚か持参するか、買ったら次のお客さん用に置いて帰ることにしよう。

 4人掛けのダイニングテーブル。トーベ・ヤンソンの小屋みたいに東西南北、それぞれの壁に窓があります。
 この窓の左側はカーテンがありませんでしたが、外は林なので、人が来ることはなさそう。右側はブラインドが降ろせます。これは後日の写真ですが、部屋が暑くなりすぎたので外気を入れて調節していました。

 寝室。すごく暖かくなっていたのですが、暖房の調節が壊れていることが判明。

 こじんまりしたベッド。リネンは別料金。

 クローゼット。予備のマットなどがあります。と、ここまで探索して、頼んだはずのタオルとリネンとドライヤーが見当たらないことに気づきました。

 内線電話はないので、慌てて再び服を着込んでレセプションに行こうとすると、なんと玄関ドアが開かない! 閉じ込められたか!?と焦って、ふたりで奮闘して、なんとか開けることができたものの、閉じ込められるならまだしも締め出されたら凍死必至。二重扉なので外側は施錠せず、相方を部屋に残してレセプションに急ぎましたが、すでにお姉さんは去った後。やむなくまたインターフォンを押し、「コテージBの客ですが、リネンとタオルはどこですか!?」と叫びました。「リネンとタオルは含まれてないよ!」「メールで頼んだんだけど」「おー、メール、誰も読んでないんじゃないかな」。同じメールに書いたバスの質問には返事をくれたけど、そういえばリネンとタオルに関する返答はなかったっけ。リネンはともかく、タオルはないと困る(別料金なのはわかっていたので、温泉でもらったタオルを持っていって捨てて帰ることも考えたのですが、やはりバスタオルがあったほうが快適だし、持っていくのはかさばるし、借りることにして、手ぬぐい3枚ずつしか持っていなかった)。「おーけー、おーけー、あ ふぃー みにっつでタオルとリネンを届けるから、じゃね!」「ちょっと待ってー! ヘアドライヤーもお願いします!」「Also hairdryer!」「おーるそーおーるそー!」……コントかっ!?
 レセプション前で待つ気はなかったので、コテージに戻っていると、ほどなくしてさっきとは別のお兄さんが届に来てくれました。リネンとタオルとドライヤーがちゃんとあることを確認、帰ろうとするお兄さんをとっ捕まえてドアの鍵の開け方講習をお願いしました。どうやら鍵をまわしたあと、軽くひねりながらノブを押さないといけないらしい。「凍りつくと開きづらいし、壊れやすくなるから気をつけてね」とのこと。
 リネンとドライヤー(使用後の写真)。

 17時20分頃に部屋に入ってから、なんだかんだで1時間。晩御飯どうする?問題が浮上しました。相方は「もうカップラーメンでいいんじゃない?」と言うのですが、ミニサイズしか残っていなくて、ここでミニサイズ2個とか食べるのもどうかと。案内パンフレットにスーパーやレストランまでの距離と営業時間が書いてあって、最寄りのK(クーッケリ)まで500メートル(だったと思う)、時間もまだ大丈夫ですが、祭日もやっているかどうか。それを見越してサーリセルカである程度仕入れてくるつもりだったのですが、うっかりしていました。「明日の朝のパンもないよ〜」ということで、がんばってスーパーまで行くことに。
 途中、雪の積もった木々やクリスマス飾りの残る家がとても美しかったのですが、写真を撮るゆとりなし。黙々と歩いて10〜15分ぐらいでしょうか、教会を過ぎ、ホテルイナリが見えてきました。

 気温はマイナス30度。さすがに誰も外にいませんが、ホテルイナリのレセプションとレストランは平常営業っぽい。やっぱり真冬のコテージは無謀だったか!?

 やっとスーパー到着。室内は暑くて、上着を脱ぎました。

 店内を撮るゆとりもなし。この夜はオーロラを期待していたので、早めに帰ろうということで、ざざっと食品を買いました。4500円分ぐらい。お店のおばちゃんが「遠くまで帰るの? トマトとぶどうは凍っちゃうから温かくして持って帰ったほうがいいよ」と教えてくれたのですが、ぶどうは凍らせて食べたいのです〜。逆にアイスはそのまま持ち帰れます。ヘルシンキのトラムで大きな箱入りのアイスをそのままスーパーの袋に入れて下げている人がいて驚きました。日本だったら保冷剤必須ですよね。

 ビールとシードル。

 サーモンスープ作ります!

 じゃがいもとたまねぎ。案外、高い。

 日本と比較するとサーモンは安く感じます。


 20時半。やっと完成! カッティングボードがあって助かりましたが、ちょうどいいサイズのナイフとピーラーがなくて一苦労。洗濯用にゴム手袋を持参していてよかった(手を切りそうで怖かったので)。

 たまねぎ1個、じゃがいも小4個をバターで炒め、ひたひたの水とスープストック2個(1個だと薄味だったので、あとからもう1個追加)で煮て、冷凍のスープ用サーモンを入れ、牛乳とディルで仕上げました。専用のサーモンだったせいか、臭みもなく、お店みたいな味! 片栗粉などでとろみをつけるレシピも見かけましたが、適度にとけたじゃがいもがいい感じ!

 サーモンづくし。

 ピンク色のはビーツのピクルスのマヨネーズあえ? 多すぎていつも残すのですが、日本では食べられない味なので、つい買っちゃいます。

 れいぱゆーすと(焼きチーズ?)も! 今回はジャム付きを買いました。クラウドベリージャム、あまり得意じゃないのですが、このチーズにはこのジャムがつきものらしい。

 お腹もいっぱいになったところで、サウナのタイマーをセットしてオーロラチェック。凍ったイナリ湖から見るオーロラがこの旅の本命。そのために湖のすぐそばの宿にしました。薄着のまま(または窓から)確認して、出ていたらすぐ見に行ける、寒くなったら部屋に戻れるし、トイレの心配もない。……そのはずだったんですが、この日は気温が低すぎた! 外に出るにはけっこうな気合と防寒が必要。

 空に大きな虹のような白いオーロラが出かかっていたので、三脚つけたカメラ持って外へ。ただし、かなり薄くて、写真に撮ってみてやっと「ああ、出てるね!」と確信できる程度。背後から「はーい!」と呼びかけられて、いったん部屋に戻った相方がふざけてるんだと思い、カメラのモニターを見せたら、どうやら見知らぬアジア人だった!というぐらい辺りは暗くて、視界を遮るものもなく、オーロラ観測には絶好の場所なのですが。

 他にも隣のファミリーコテージに泊まっているアジア系グループ、炊事場あたりで宴会してたヨーロッパ系グループなどがオーロラを見に出ていました。

 祭日で町が賑わっていたのか、大気の加減なのか、空の下のほうが明るいのがちょっと邪魔。右側の赤いのはオローラじゃなくて町の光だと思います。

21時45分、薄くなってきたので部屋に戻りました。

 22時半。外で騒ぎが聞こえたので慌てて行ってみると「おーろら〜 おーろら〜」とオーロラを呼ぶ酔っぱらいグループの歌だった……。出たときだけ騒いでくれよー!

 出ていることは出ていますが、ここで見たかったのはこんなのじゃないのよ〜。


 23時頃までチラッと外に出たり、窓を気にしたりしていましたが、プライベートサウナをゆっくり堪能して、25時頃就寝。夜中に目が覚めたときも窓を見てみましたが、オーロラは見えませんでした。
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 メモ。今回、サーリセルカのホリディクラブとイナリのホリディビレッジはbooking.com経由で予約しました。片方はフィンエアー経由(キャンセル不可、マイレージがつく)、片方はサイト直。使い分けたかったわけではなく、単なる行き当たりばったりです。といっても宿を取るときは楽天トラベル、エクスペディアなど、数社を比較、いちばん安くて条件が良さそうなところを選んでいます。今回、ヘルシンキのホリディイン(なぜかたまたまホリディつながり)だけはホテルのサイトからIHGリワーズクラブというものに加入して予約するのがいちばん得だったので、直接予約しました(前払い、キャンセル不可)。
 イナリで以前泊まったのはホテルイナリ→2011年、アパートメント2012、サウナ付き。目の前がスーパーで、バスも停まるので、使い勝手がいいのですが、さすがに飽きた感があったのと、やや割高なんですよね。行ってみたらもう1棟増えていて、レストランもシックに改装されていました。もう1軒の候補はクルタホヴィ→2012年に食事をしたときの記録 ここに泊まるつもりだったのですが、メインの道路から少し奥まった川沿いにあるので、冬は厳しいかなぁと思って、他を探し、バスが近くに停まるというホリディビレッジを選択。しかし、よく考えると、スーツケースを引いてバスでコテージ/キャビンに来る客はあまりいないんだろうなぁ。駐車料無料ですし、車で来る人が多いと考えれば、レセプションが無人なのも、リネン/タオルが別料金なのも頷けます。部屋は広くて快適でしたが、スーツケースを広げやすいスペースがなかったですし。夏ならともかく、雪の季節は特に無謀だったかも。でも、暖炉と湖を独り占めできる贅沢さは癖になりそう。次はレンタカー、かな!?