人形劇とイッタラ銀座

Too2017-07-29

 どちらも明日(7月30日)までなので、大急ぎで更新!東京公演は終了いたしましたが、8月19日、神戸公演があるそうです。関西方面の方はぜひ!
 本日、人形劇団ひとみ座による日生劇場ファミリーフェスティヴァル2017 パペットファンタジームーミン谷の夏まつり』を見てきました。事前の知識はほとんどなく、新作のパペット劇の上演!ということぐらいで、ムー友さんにチケットを取っていただき(♯他力本願)、ツイッターなどに流れてくるスナフキンミムラねえさんのパペットの造形を見ては「ん? なんかちょっとイメージと違う」なんてことを思っていました。ムーミンバレエのときのようにテレビやSNSが沸くでもなく、直前に公式サイトのツイッターやブログにあがったゲネプロの様子などをチラ見して、「むむむ、子ども向けかなぁ」と軽くしり込みしつつ、いざ、会場へ。
 開場10時半、開演11時で、10時15分ぐらいについたらすでにロビーや売店は開いていて、ロビーではお子さまだけ前のほうに座らせてのイベント「ミイとまなぶ! 劇場ってどんなところ?」が開催されていました。ミイの人形が登場して、舞台のことなどを説明していた模様。人垣ができていたし、途中からだったのでよくわかりませんでしたが、まわる舞台や仮面についてレクチャーしていて、子どもたちもなかなかの食いつきっぷり。

 30分前に場内に入ることができました。ロビーではもう一回、イベントが開催されていたようです。ざっと見渡すと、お子さま連れがほとんどで、ムーミンイベントにありがちな女性の大人のお友だちはやや劣勢(笑)。
 さて。最初にミイが登場。なんとなく、人形を操る人がいて音声は別かなと思い込んでいたのですが(ムーミンの日の着ぐるみショーのイメージですね)、お姉さんがミイの人形を動かしながら、その場でセリフも言っています! 人形を操る人たちは黒のパンツにベスト、帽子など、揃いの黒子っぽい格好をしているのですが、ミイは小さいので、お姉さんの表情もそのまま観客に見えています。テンションの高さにちょっとびびりましたが、ミイのキャラをすごくよくつかんでいて、違和感はありません。タイプでいうと、そう、ちょうど同じ演目の劇場版ペパットアニメ『ムーミン谷の夏まつり』の水田わさびさん系でしょうか。ミイの先導で幕が開くと(ムーミンバレエもそんなパターンでしたね)、ムーミンママとミムラの夏まつりの冒頭のシーンが。
 文楽みたいっていうんでしょうか、大人の背丈の半分程度の大きさの人形(ムーミンなので、顔などの横幅はデカいです)の頭の後ろの部分を片手で持って動かしながら(足はぶらーんとぶら下がっている状態。胴体は下げているときと動かしているときがあるように見えました)、もう片方の手で人形の手などを動かします(ひとりでは操作しきれない細かい動きのときはヘルプの黒子さんがフォローに現れます)。最初は人が見えている状態とか人形の形状とかが気になったのですが、それはほんの一瞬。すぐに、人形の細かな表情や動きに驚かされることはあっても、物語の鑑賞の妨げになるような感覚はまったくなくなりました。いろいろと熟練の技だと思うのですが、人形を操りながらもセリフも完璧で、違和感を抱かせる隙なし。かといって、手練のやっつけ感というか、門外漢にはわからないお約束的な感じもなくて、本当に感心させられました。
 原作をご存じの方ならおわかりかと思いますがけっこう長いストーリーを、ほぼ忠実になぞりつつ、飽きさせることなく、さくさくと進んでいきます。すべての要素を盛り込みながら、ここでは不要な枝葉だけ落としている感じ。原作をていねいになぞった構成の映画や舞台ってダラっとしがちで、思い切ってザクッとメリハリをつけたほうがおもしろくなることが多いと思うのですが、今回は間延び感がまったくなく、それでいて原作に忠実だから、もー、何十回と原作を読んだ立場でも、あの場面がない!とか、違うのに!みたいなこともないんです(バレエのときはトフスランとビフスラン出てこないの〜!?とか、そもそも『たのしいムーミン一家』にミイいなくね?とかいろいろあったのですが(笑))。たまたま原作を持ち歩いていたので(某仕事でミーサとホムサの原稿を準備中)、帰りにちらっと確認してみたら、すごくうまいこと原作の名言を散りばめているんですよねー。たとえば、原作で眠くなったと言うミイに対してスナフキンが口にする「たいせつなのは、じぶんのしたいことを、じぶんで知ってるってことだよ」というセリフは、ミイが「歌いたい」と言ったあとに使われていましたが、その歌の使い方もすごく効いていました。
 他にも、ニョロニョロ!!!!!!とか、海鳥とか、ネタバレは避けますが、想像を超える驚きの演出も! でもそれが奇をてらった感じでもなく、バランスやセンスがすごくよかったです。水に潜るシーン、水の表現(布)も上手でした。
 あえてダメ出しするとすれば(別にしなくていいと思うんですけど、ホメたおす一方なのもなんなんで)、ミーサの髪が黒なので演者さんの服と被ってもったいない、とか、ムーミン谷の池の書き割りが途中で使い回されてて「え、谷に帰ってきた!?」と思ってしまった(ちゃんとトーベさんの挿絵っぽい花が描かれているので印象に残ってしまって)、とか、家などが洪水に流される場面で劇場を残してムーミンやしきを下げるなら背景も動かさないとやしきが流されたように見えてしまう(木を残して劇場が流される場面も同様)とか、夜に星がまたたいていたけど(星はきれいでした)フィンランド夏至の頃は白夜で星は見えないよね(笑)とか、そんなところでしょうか。
 少ない人数で自然に巧みに進行していくのもすごいのですが、キャストもみんな役にぴったり! ムーミンの少年っぽさ、フローレン(いまどき珍しくスノークのおじょうんさではなくフローレンと呼ばれてた)のかわいらしさ、ママ、パパ、ミムラ、公園番、ろうや番、ヘムルのむすめ、フィリフヨンカ、エンマ、ミーサ、ほぼイメージどおり。スナフキンは昭和か平成アニメに強い思い入れがあるとちょっと難しいかもしれませんが、人形もかわいらしいし、声もよかったと思います。個人的にはホムサがちょっと元気ないい子すぎる気がしたかな〜。夏まつりのホムサは他のホムサと比べると普通の男の子っぽいのですが、もうちょい、理屈っぽくてミーサの気持ちが読めない不器用な感じとか、内省的な雰囲気もほしかったような(とはいえ、ホムサってしっぽあったっけ!?とびっくりした程度のライトファンの戯言です。確認したら、しっかりしっぽ生えてた!) お芝居のシーンに突然出てきたボートに乗ったヘムルの楽団もおもしろかった!

 最後に情報として。アンコール的なところで、なんと、会場の通路に人形と演者さんが降りてきてくれます! 真ん中の席だったので舞台は見やすかったのですが、人形を間近で見られなかったのが残念〜。さらに終演後、ロビーでミイの人形と記念撮影できます。写真撮りたい方は早めにロビーに出て並んでください!
 帰りに友人たちと口々に言っていたのは、これが今日と明日だけの上演なんてもったいなすぎる!ということ。演者さんすごい、脚本すごい、演出もすごい、人形もすごい。地方公演、DVD化もぜひ! ひとみ座で他のムーミン作品も見てみたい気がしますが、まずは『ムーミン谷の夏まつり』をより多くの方に見ていただきたいです。やっぱり劇場を舞台にした(って、ややこしいな)夏まつりは舞台化に向いているんだなぁとしみじみ。夏やすみのこの時期、夏まつりのわくわく感もぴったりでしたし。気になってたけどうっかりしていた、という方は、当日券あるみたいなので、迷わずGO! これがS席4000円、A席3000円(中学生以下半額)って激安ですよ。写真や動画ではあの動きの素晴らしさは伝わらないと思います。やっぱりお芝居は劇場で、生で見ないと! 今日の初回も2階席などは空席があったようなので、ほんともったいないです。いい劇場なので、2階3階でも見やすいと思います(細部を見たい方はオペラグラスを忘れずに! 貸し出しもあります)。そうそう、お子さまの年齢が低くて躊躇なさっている方もいらっしゃるかもしれませんが、お子さまたちも楽しそうでしたよ〜。会場が暗くなるので泣いちゃってる子もいましたが、会場の雰囲気的にそんなに肩身が狭い感じにはならないと思います(ひどく泣いちゃったらロビーに出てね、的なアナウンスはありました。ロビーのモニターでも舞台の様子が見られるそうです)。

 ふー。ランチのあと、みんなにつきあってもらってイッタラGINZAに寄ってきました。悲しいことに30日で閉店。現行品が全品20%オフ(バードやムーミンも! ムーミンバレーマグも再入荷していました。冬マグ、夏マグも、B品とかではない、ちゃんとしたコンディションのものが20%オフってすごい!) フレンドシップやデコツリーは30%オフ。ムーミン以外では50%オフのものもありました。店内はアウトレット的な活気にあふれていましたが、レジもそんなに混んでなくて(時間によるとは思いますが)、買い物しやすかったです(オープンのときの長蛇の列が懐かしい〜)。閉店セールなので、配送とラッピングはできないのでご注意を。袋や箱は通常のものに入れてもらえます。個人的にはお世話になった元店長さんに最後にお会いできたのもうれしかったです。記念に買い物しちゃった!(その話はまた明日)。

 というわけで、30日はぜひ、日生劇場イッタラ銀座をハシゴしてください! 久々に熱く語ったら疲れました(笑)。推敲は明日にして、とりあえずアップ!
 詳細は→人形劇団ひとみ座 日生劇場ファミリーフェスティヴァル