『亡国のイージス』

Too2005-07-17

 日本映画としても異例のミリタリー大作。そういう映画が成立しないのは日本には軍隊がない(法律上)からなわけですが、軍隊との違いがほとんどわからない自衛隊が全面協力。迫力満点に仕上がっているのであります。
 個人的には、アクションとかカーチェイスのシーンが続くと退屈で眠ってしまう体質のうえ、戦艦とか戦闘機とか迷彩服とかがが出てくると拒否反応が出るほうなんですが、それでも十分楽しめたのは阪本順治監督(『顔』、最高!)の手腕なのでしょうか。戦艦とか兵器もそれなりにカッコよさげに映しているものの、鼻につく陶酔感がなくて、バランス良し。基本的には、立場の違う人間(ほとんど男たち)がぶつかりあう、人間ドラマなんですね。
 登場人物がたくさんいるのに、それぞれの背景や心情をきっちり伝えているのがスゴイ。役者も、寺尾聰佐藤浩市中井貴一が手堅い演技を見せているし、若手だと谷原章介がいいですな〜。最初の凛々しさと途中で見せる弱さ、ラストもとってもオシシイ。総理大臣に原田芳雄、内閣情報官に岸部一徳といったハズシキャラが混じっているのがまたポイント高し。原作では人気キャラNo.1だという如月行を演じている勝地涼も意志の強そうな目がスバラシイ! チラシやポスターには写っていませんが、この映画のなかでもっとも光っているのは彼なのでは。 
 真田広之扮する仙石伍長は原作では太ったオッサンらしいです。映画では誰よりも逞しそうで、闘うコック(『沈黙の戦艦』のスチーブン・セガール)や『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスを連想せずにはいられませんでした。で、最後の最後に、そんな彼の笑撃シーンがあります。うっかり気を抜くと爆笑してしまい、感動が台無しなので、ご注意ください。
[7月30日公開]