プール

Too2009-10-18

 先日、あたたたたーと仕事をやっつけて、滑り込みで『プール』を見てきました。
 見終わって、エスニック料理が食べたい!となったんですが、、胃が弱っているので、タイスキもしくは市尾鍋を〜と思って買い物に行ったけど、ナンプラーレモングラスも見あたらない(パクチーはあったけど、あまり好きではない)。肉団子の代わりにイカ団子を入れたいなぁと思ったけど、作るのは面倒だし、売ってないし……。というわけで、いつもの鶏鍋とほとんど代わりのないものになってしまいました(笑)。プチトマト買ったのに入れ忘れたし!
 鶏手羽と昆布で出汁をとり、白菜の代わりにキャベツ、パクチーの代わりにバジル、冷凍海老としめじと春雨、味付けは塩とレモン汁!です。辛くないトムヤムクンをイメージしてみました。レモンの酸味が効いてて、野菜たっぷりで、さっぱりしていてとってもおいしいです。
 さて。以下、『プール』の感想を思いのままに綴ります。大きなネタバレ(そもそもネタがキモの映画ではないですし)はないと思いますが、これから見ようと思う人は読まないが吉(長いです)。
 ワタシは『かもめ食堂』シンパです。が、『めがね』は好きだけど、そんなにツボではなかったし、あの製作チームがすごく好きかというとやや疑問。『かもめ』が好きで、『めがね』まではOKだった人の間でも、『プール』の評判はそんなによくないみたいなんですよねー。
 で、個人的な感想ですが、脚本・監督が前2作とは別なので、基本的には別物だと思ったほうがいい。『かもめ』『めがね』は、よくできたファンタジーだったと思うんです。バランスを計算し、無駄を省き、ステキなものをさりげなく散りばめた、まぁるい作品。それに対して『プール』はけっこうザラっとしている。母と子の会話シーンなんて、ドキュメンタリーかと思うような緊迫感! ひとつは“さよ”を演じた伽奈が映画初出演だった、というのが大きいと思います。彼女の演技は賛否両論かもしれないけど、ワタシはあの独自の存在感は悪くなかったのではないかと(というか、あのルックス、すごい好み〜! あれが別の役者だったら、個人的にはテンション下がったと思う(笑))。
 問題点を挙げるなら、どーしても、市場の買い物シーンなど、デジャブ感がぬぐえなかったこと。小林聡美が現地の言葉を喋ると、フィンランドのときは「おおー!」だったのが、今回は「今度はタイ語? がんばったねぇ」みたいに思えてしまう。「世界の市場で小林聡美が買い物するシリーズ」ですか?的な。もたいまさこも大好きなんですが、いつものまんまのもたいさん(笑)。立派なゲストハウスにまったく客がいなかったこともあって、「この人たち、どうやって食べてるんでしょ?」という浮世離れ感が漂ってしまったのも惜しい。映画『かもめ食堂』も(原作にはちゃんと説明がある)、『めがね』もまぁその点は同じなんですが、プールやゲストハウスがかなり豪華に見えたせいかなぁ(パンフレット読んだら、プール/ゲストハウスのオーナーは菊子=もたいさんなんですね。京子=小林聡美は雇われ? 財産を注ぎ込んだとすれば、あの豪華さにも納得)。
 大森美香も大好きなんですが、“月9”で見事な女子トークの応酬を書いてた人とは思えないほど、この映画ではセリフや演出を切り詰めています。さよがいきなり客室に入ってしまったシーンで「そこが客室だとなんで知ってた!?」と驚いたんですが、わざとらしくても部屋を示すシーンを入れたり、物価の安さに驚愕したりするセリフを入れたりすれば、もう少し説得力が増したような気がします。
“期待したほど、おいしそうな映画じゃなかった”という点に関しては、ワタシはあれでよかったと思います。『南極〜』は料理が重要なメタファーだけど、プールにおいてはそうではない。むしろ、これでもか!と料理が示されたら、「また?」と思ったんではないかと(もちろん、「小林聡美が世界の料理を作るシリーズ」として成立させるのもひとつの手ですが)。“母親として無責任では!?”という指摘についても、そうは感じませんでした。娘が寂しさを感じていたのは確かですが、4年前(現在、卒業旅行)ということは大学進学が決まってから家を出たという設定。大学生といえば、自分から家を出て独り暮らしをしてもおかしくない年齢だし、ある意味では、親離れ・子離れを促すためのタイ行きだったのやもしれず。無責任な親を否定的に描いた作品もあるけれど、京子は子供に迷惑をかけているわけではないし(子供に経済的・精神的に依存する親ってのもいるわけで)、個を生きる自由な母親を描いた作品としてはかなり秀逸なんではないかという気もします。
『かもめ』『めがね』の流れではないところで、その2作を見ていない人にとってどうか、と考えると、北欧好きにとって『かもめ』がたまらない作品だったように、タイ好きにアピールする要素も強いでしょう。あとは、ワタシもそうですが、まったりのんびりした空気感の映画が好きな人向け。“癒し系ムービー”とでもいうんでしょうか。
 なんとなく自分のなかで感想が整理できてきましたが、やはり少し腑に落ちないのが「理由なんて、愛ひとつで十分だ」というコピー。人と人だけでなく、場所への愛みたいなものもあるんだろうけど、まだしっくりきません。あと、肝心のプール、ね。なんかの象徴だったりするんでしょうけど、即物的に考えると、最後まで誰も泳がず、誰も落ちなかったのがひっかかる(笑)。うむー。とりあえずアップ! あ、プールサイドのマリメッコのテーブル、すごい高いやつですよね!? 意外に似合ってて、いい感じでしたー。