新訳『星の王子さま』

Too2005-09-22

 新訳の出版が相次いでいる『星の王子さま』。ムーミンが好きだというと、「星の王子さまとかも好き?」と言われがちな作品ですが、実はまったくもってピンときていませんでした。手元には昭和28年第一刷の内藤濯訳、岩波少年文庫(昭和45年第31刷!)があったのですが、訳の日本語がしっくりこないのかも?と思い、倉橋由美子訳(宝島社)を買ってみました。安かったので、ついでに池澤夏樹訳(集英社文庫)も購入。
 どちらもするするとおもしろく読んだものの、やっぱり自分のツボにはハマらないようです。ミニマムな雰囲気は好きなのですが、バラの花が過剰にフェミニンなのが好きじゃないのかなぁ(笑)。ムーミンには「わかる、わかる」「いる、いる」というキャラクターがいっぱい出てくるのに対して(登場キャラの数も多いですが)、王子さまには遠い星の生き物みたいなキャラしたか出てこない。もちろん、あくまでも自分にとって、ですが。
 3冊を読み比べてみた感想としては、読みやすいのは池澤版、味わい深いのは倉橋版、レトロな趣きがあるのは内藤版。キツネをapprivoiser「飼いならす」「仲良くする」などの解釈の違いが話題になっていますが、冒頭の主人公が描く絵については、「ボア」(池澤)、「大蛇」(倉橋)、「うわばみ」(内藤)となっていました。
 ちなみに、日本での著作権保護期間は、著作者の死後50年まで、だそうです。2051年にはムーミンの新訳ラッシュが来るのでしょうか。そのときまで、生きてるかなぁ。

星の王子さま―オリジナル版

新訳 星の王子さま

星の王子さま (集英社文庫)